消化器内科

当科の特色

当科では、消化器疾患全般の診療を行っていますが、特に内視鏡を用いた診断と治療を得意としております。また、高齢化に伴い、何らかの全身性疾患を抱えた患者さんが増えています。当科は内科の一診療科として、総合内科や循環器科の先生方と密に連携し、全身性疾患における消化器診療にも力を入れています。

内視鏡診断・治療の特色:
  • 経験豊富な内視鏡技術と軽い鎮静剤の使用によって、苦しくない内視鏡検査を安全に行っています。お腹の張りを少しでも減らすために、『炭酸ガス送気システム』も導入しております。
  • 通常の内視鏡検査にNBIや拡大内視鏡を積極的に用いて、確実かつ迅速な診断に努めています。特に大腸内視鏡検査では、『ポリープ』などの病変を見つけた場合にはその場で切除が必要な病変か判断し、日帰り手術(内視鏡治療)を行っています。
    また、早くから内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も導入しており、『食道がん』や『胃がん』のESDだけでなく、最も高度な技術が必要とされる『大腸がん』に対するESDも多数行っております。
  • 胆膵の内視鏡検査や治療は通常外科と合同で施行しており、科を超えて協力し、リアルタイムに画像を検討、正確な診断に努めています。その診断を基に、最善の結果が得られるよう、病態に合わせた適切な治療を行っています。
  • 平成29年9月に全ての機種を最新のモデルに更新しました(内視鏡システム:OLYMPUS EVIS LUCERA ELITE、スコープ:OLYMPUS 290 series)。

(→ 内視鏡センターホームページ)

対応可能な疾患と治療

■食道疾患

●逆流性食道炎の診断と内服治療

食生活の欧米化やピロリ菌感染の減少によって、胸焼けやげっぷ過多(逆流性食道炎)を認める患者さんが増えています。速やかな症状改善を目指しています。

●良性食道狭窄の内視鏡治療

良性の食道狭窄のため食事摂取ができない患者さんにバルーン拡張術を行っています。

●食道がんの診断と内視鏡治療

最新の機器で速やか、確実に診断し、リンパ節転移のない早期がんに対して内視鏡治療(ESD)を行っています。また、通過障害のため食事摂取ができない手術や化学放射線療法適応外の患者さんに対しては金属ステント留置も行っています。

●食道胃静脈瘤の内視鏡治療

出血を起こす可能性がある食道胃静脈瘤の患者さんや静脈瘤破裂を起こした患者さんに対して静脈瘤硬化療法(EIS)や結紮術(EVL)を行っています。

■胃疾患

●胃がんの診断、内視鏡治療、化学療法

最新機器を用いて速やかに診断し、リンパ節転移のない早期がんであれば内視鏡治療(ESD)を行っています。手術が困難な患者さんに対しては抗癌剤の投与を行っています。また、食事が通過しない狭窄のある患者さんには内視鏡的に金属ステント留置も行っています。

●胃十二指腸潰瘍の内服加療と内視鏡治療

現在多種の胃酸抑制剤が開発されており、内服加療にて完治することができます。出血を起こした場合にはクリップ、高周波凝固などの内視鏡治療で手術を要することなく、治すことができます。

●ピロリ菌の診断と内服治療

ピロリ菌は慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃がん、胃リンパ腫などの原因になります。簡単な方法(血液検査、便検査、呼気試験など)で診断が可能であり、ピロリ菌陽性であれば、7日間の内服治療で80-90%の方が除菌できます。

●胃粘膜下腫瘍の診断と治療

胃粘膜下腫瘍はポリープやがんと異なり、胃壁内部にできる腫瘍の総称です。粘膜下腫瘍ではGIST(消化管間質腫瘍)が最多ですが、その他にも良性のものから悪性のものまで 様々あります。2cmを超えるような病変では、精密検査が必要になりますが、壁内部の腫瘍のため表面は正常粘膜で覆われており、一般的な胃カメラでは診断できません。そのため超音波が先端に付いた胃カメラを用いて検査を行い、必要があれば超音波下に胃カメラの先端から針を刺して細胞の検査を行うこともできます。ある程度の大きさの病変では、手術が行われますが、最近新しい方法として、胃カメラと手術を組み合わせて切除範囲をなるべく小さくする手術も行っています。

■小腸疾患

●クローン病の診断と治療

クローン病は口から肛門まで広範に炎症を起こす病気です。原因は特定されておらず、国の特定疾患になっています。速やかに消化管精査を行い、様々ある治療から適切な治療を選択しています。以前は難治性疾患でしたが、最近は長期緩解が望めるようになり、外来通院にも力を入れています。

●小腸出血の診断と治療

以前は小腸は検査の困難さゆえに暗黒の臓器と呼ばれていました。現在、カプセル内視鏡とバルーン内視鏡の開発によって精査可能となり、治療も行うことができます。

https://www.onaka-kenko.com/column/col_08.html

●腸閉塞の治療

血流障害のない腸閉塞では腸管内に貯留している腸液やガスを出すことが重要であり、経鼻胃管や小腸までのロングチューブ留置が行われます。当院ではより短時間で確実に留置するために経鼻内視鏡を用いています。

■大腸疾患

●大腸ポリープ、大腸がんの診断と内視鏡治療

通常の内視鏡検査にNBIや拡大内視鏡を積極的に用いて、確実かつ迅速な診断に努めています。特に大腸内視鏡検査では、『ポリープ』などの病変を見つけた場合にはその場で切除が必要な病変か判断し、日帰り手術(内視鏡治療)を行っています。
また、早くから内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も導入しており、『食道がん』や『胃がん』のESDだけでなく、最も高度な技術が必要とされる『大腸がん』に対するESDも多数行っております。

●潰瘍性大腸炎の診断と治療

潰瘍性大腸炎は国の特定疾患の一つで、年々増加している病気です。原因は特定されていませんが、免疫異常による腸炎と言われています。速やかな精査と加療を心掛けており、様々な治療に対応可能です。最近は長期緩解が望めるようになり、通院加療にも力を入れています。

●大腸炎、出血の診断と治療

大腸炎、出血には細菌性、虚血性、薬剤性、全身性疾患の一症状など様々な原因があり、それを特定することが重要です。病歴聴取や各種検査を行うことによって確実な診断を速やかに行い、適切な治療を行っています。全身性疾患が疑われる場合には総合内科医師と十分な協議のうえ診断、治療を行っております。

■肝疾患

当院には肝臓専門医が3名おり、栃木県肝疾患専門医療機関に指定されています。C型肝炎やB型肝炎などの肝疾患も積極的に治療しています。

●C型肝炎の診断と治療

C型肝炎の以前の根治的な治療はインターフェロンしかなく、注射のため時間的な制約があり、かつ副作用の問題もありました。現在、経口の直接作用型抗ウイルス剤が開発され、従来の薬剤に比べて副作用が少なく、外来で根治治療を行うことができるようになりました。約3か月の内服治療で85-100%の方がウイルス排除に成功しています。

●B型肝炎の診断と治療

C型肝炎と異なり、B型慢性肝炎の患者さんに持続感染しているB型肝炎ウイルスは身体から完全排除することは出来ないことがわかっています。経口の核酸アナログ製剤の投与を行い、ウイルスの増殖を抑えて肝炎を鎮静化させています。また、免疫調整剤や化学療法により発症するB型肝炎に対しても積極的に取り組んでいます。

●その他の慢性肝炎の診断と治療

B型・C型肝炎のほかには、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害などの肝炎があります。病歴、血液検査、画像検査で診断できない場合には、超音波下肝生検も行い評価しています。

●肝硬変の治療

原因は様々ですが、慢性肝炎の状態が長期に及ぶと肝硬変に移行します。肝硬変でも早い段階であれば症状はほとんど認めませんが、さらに進行すると肝不全症状(脳症、黄疸、腹水貯留や下肢浮腫など)が出現するようになります。
一度肝硬変になると治すことは困難ですが、症状が出ないようそれ以上悪化させないことが重要になります。また、肝不全症状がみられても内服薬などでコントロールも可能になっています。

●肝腫瘍(肝がん)の診断と治療

肝腫瘍には良性から悪性まで多くの種類があります。腫瘍マーカーや各種画像検査を行い診断しています。肝がんの場合には、他部位のがんと異なり、切除によって肝不全になる可能性もあり、肝機能を考慮した治療選択をしなければなりません。手術のほかに、当科ではカテーテル治療、超音波下局所治療、抗癌剤投与を行っています。

■胆膵疾患

●胆道腫瘍(胆嚢がん、胆管がん)の診断と治療

血液検査とCTやMRIなどの画像検査を行い、胆道腫瘍が疑われる場合には、内視鏡的膵胆管造影検査や超音波内視鏡を用いて更なる精査を行います。胆道がん治療では原則手術ですが、手術ができない症例には抗癌剤投与や腫瘍による胆道狭窄に対してステント留置術を行っています。

●胆石(胆嚢内結石、総胆管結石)の診断と治療

胆嚢内結石があるだけでは治療の必要はありませんが、胆石発作や胆嚢炎が見られた場合には原則手術の適応になります。総胆管結石の場合には症状の有無にかかわらず、胆管炎を起こす可能性が高く、早急な内視鏡治療が必要になります。外科と協力し、迅速な診断と治療を心掛けています。

●膵腫瘍(膵癌、IPMN)の診断と治療

血液検査とCTやMRIなどの画像検査を行い、膵腫瘍が疑われる場合には、内視鏡的膵胆管造影検査や超音波内視鏡を用いて更なる精査を行います。膵がん治療は原則手術ですが、手術ができない症例には抗癌剤投与や腫瘍による胆道狭窄に対してステント留置術を行っています。

●膵炎(急性、慢性)の診断と治療

急性膵炎にはアルコール性、胆石性、自己免疫性などがあります。原因にかかわらず、重症膵炎の場合には致死率は25%と言われています。そのため当科では迅速な診断、原因に応じた対処、厳密な全身管理を行っています。慢性膵炎では肝硬変同様にこれ以上悪化させないことが重要であり、アルコール制限などの生活指導や投薬による外来加療を行っています。

医師紹介

役職 氏名 専門分野 認定医・専門医
外来診療部長
内科部長
上原 慶太
(Keita Uehara)
消化器疾患一般
内視鏡診断・治療
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本肝臓学会専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
臨床研修指導医
産業医
医学博士
慶応義塾大学医学部客員講師
消化器内科医長 小池 健郎
(Takero Koike)
消化器疾患一般
内視鏡診断・治療
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本肝臓学会専門医・指導医
日本消化管学会胃腸科専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
臨床研修指導医
医学博士
獨協医科大学消化器内科非常勤講師
消化器内科医長
内視鏡センター長
吉竹 直人
(Naoto Yoshitake)
消化器疾患一般
内視鏡診断・治療
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本肝臓学会専門医
日本消化管学会胃腸科専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
臨床研修指導医
医学博士
消化器内科医師 内藤 恵理
(Eri Naito)
消化器疾患一般
内視鏡診断・治療
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本肝臓学会専門医
消化器内科医師 内藤 裕史
(Hirofumi Naito)
消化器疾患一般
内視鏡診断・治療
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本肝臓学会専門医
臨床研修指導医 
消化器内科医師 林田 翔
(Syo Hayashida)
消化器疾患一般
内視鏡診断・治療
日本内科学会内科専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医

外来診療担当医表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
初診 小池 健郎 吉竹 直人 林田 翔 内藤 裕史 内藤 恵理
再診 小池 健郎 吉竹 直人 林田 翔 上原 慶太
内藤 裕史
内藤 恵理

* 他医療機関からのご紹介であれば、診察予約を取ることが可能です。
詳しくは地域医療連携室のホームページ(リンク)または電話でお問い合わせください。
お問い合わせ先:028-622-0299(連携室直通)

内視鏡検査・治療日程表

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前 上部内視鏡
内視鏡手術
(EVL、PEG)
上部内視鏡
内視鏡手術
(EVL、PEG)
上部内視鏡
内視鏡手術
(EVL、PEG)
上部内視鏡
内視鏡手術
(EVL、PEG)
上部内視鏡
内視鏡手術
(EVL、PEG)
午後 下部内視鏡
内視鏡手術
(EMR、ESD)
透視下内視鏡
(ERCP、EUS-FNA、
EIS、ステント)
下部内視鏡
内視鏡手術
(EMR、ESD)
下部内視鏡
内視鏡手術
(EMR)
下部内視鏡
内視鏡手術
(EMR、ESD)

EVL:食道静脈瘤結紮術、PEG:胃瘻造設術、EMR:粘膜切除術、ESD:粘膜下層剥離術、
ERCP:胆膵内視鏡、EUS-FNA:超音波内視鏡下穿刺吸引法
EIS:食道胃静脈瘤硬化療法

緊急内視鏡: 適時、小腸カプセル・内視鏡:適時(予約制)

内視鏡検査・手術実績

2022年度 件数
内視鏡総件数 3508
   
上部消化管内視鏡検査 1800
粘膜下層剥離術(ESD) 53
粘膜切除術(EMR) 6
消化管止血術 47
食道静脈瘤結紮術(EVL)・硬化療法(EIS) 10
胃瘻造設術(PEG) 45
消化管狭窄拡張術 2
消化管ステント留置術 3
異物除去術 12
   
下部消化管内視鏡検査 1305
ポリープ切除術(coldpolypectomy、EMR) 630
粘膜下層剥離術(ESD) 15
消化管止血術 28
   
胆膵内視鏡検査 291
胆管結石除去術(EST、EPBD、EPLBD) 84
胆管ドレナージ術(ENBD、EBD) 139
胆嚢ドレナージ術(ENGBD) 17
胆管メタリックステント留置術 15
   
超音波内視鏡検査 109
超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA) 20
超音波内視鏡下インターベンション治療 8

消化器カンファレンス・勉強会

■内科全体カンファレンス(週2回)

毎週月曜日と木曜日に総合内科、循環器内科の先生方と共に行っています。外来、入院の個々の症例について議論を深め、全人的に学ぶことができます。消化器疾患だけでなく、神経疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、様々な疾患について学ぶことができます。

■内科・外科合同カンファレンス(隔週水曜日)

内科から外科に紹介した症例について、水曜日夕方から行っています。手術の結果を報告いただき、理解を深めています。カンファレンスで症例提示することにより、手術適応のみならず、化学療法などの治療方針について、皆で理解を深めています。当院は病理結果も迅速に出していただけるため、速やかに情報を得ることができています。日常臨床でも外科の先生方と密に連携をとっています。

■内視鏡カンファレンス(週1回)

消化管内視鏡で生検した症例、興味のある消化器症例につき、内視鏡検査終了後に検討しています。内視鏡所見だけで完結していたものが、病理所見を全員で確認することで、今まで通り過ぎていた稀な所見も共有しています。当科は検査で多忙でありますが、検査所見について、一つ一つ丁寧に学ぶことができます。

教育認定施設(消化器関連)

 日本内科学会教育関連病院

 日本消化器内視鏡学会指導施設

 日本消化器病学会指導施設

 日本肝臓学会認定施設

 日本がん治療認定医機構認定研修施設

取得可能な専門医

 日本内科学会総合内科認定医・専門医

 日本消化器病学会専門医

 日本消化器内視鏡学会内視鏡専門医

 日本肝臓学会専門医

 日本がん治療認定医機構がん治療認定医

消化器内科常勤医募集

業務拡大のため消化器内科医を募集します。
(卒後15年までを対象)

  • 臓器別にこだわらない消化器ジェネラル医を目指す方
  • 内視鏡検査・治療をもっと多く積みたい方
  • 消化器診療に従事しつつ総合内科医と共に内科プライマリケアを学びたい方
  • 平均年齢30歳台の内科医のみんなと楽しくサブスペのスキルを習得したい方
  • 主な業務は内視鏡検査や治療を主体とした消化器疾患全般の病棟・外来診療です。
  • 当院の消化器内科常勤医師は5名ですが、全員内科学会総合内科専門医、消化器病学会専門医、内視鏡学会専門医であり、3名は肝臓病学会専門医の資格も有しています。
  • 総合内科医師や外科との壁は全くなく、常に一緒に楽しく検査や診療を行います。
  • 年3000件の内視鏡検査、治療を行っており、人数が少ない分上級医と綿密にコミュニケーションをとることができ、十分な件数確保もできるため、早い時期での手技体得が可能です。
  • 栃木県ESD研究会でのインストラクターも常勤しており、マンツーマンで指導を受けられます。
  • 内科新専門医制度に対応しており、研修終了後は日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医の取得・維持に向けて研修が継続できます。

見学、質問は随時受け付けております。
問い合わせ・連絡先:
消化器内科医長 吉竹 直人
n.yoshitake3187@gmail.com までお気軽に御連絡下さい。